岩笛製作者、動(yurugi)さんからのメッセージ





岩笛は縄文時代の遺跡から、わずかですが出土しています。
石に一つの穴を開けただけのシンプルな古代の楽器です。

その昔は、自然に穴のあいた石を探し求めていたのですが、やがて勾玉と同じように人工で穴を開けられるようになりました。
ただ、その製作には大変な時間と労力を必要としました。
ですから、ヒスイの勾玉同様に、希少なものであったことは確かです。

当時、祭祀は頻繁に行われていました。村人が一堂に会して行うことも、シャーマンが一人で行うこともありました。
天候・天災・病気等、生活全ての事を神様にお願いし、そして神様のお言葉をいただき方針を決めていたのです。

祭祀の初めに最も重要な、神をお迎えする儀式に吹奏したのが岩笛だと思われます。その独特な音は天界に届くと感じていたのでしょう。また、岩笛は地球の一部である石を使うことで、神と居場所を共有すると考えられていたので楽器というよりむしろ神具であったのかも知れません。


最近の科学の進歩で、年代特定がかなり正確になってきて、縄文時代の事が良く分かるようになりました。
長い間縄文人は移動型の狩猟民族と考えられてきましたが、三内丸山(さんないまるやま)遺跡が出てからその考えが一変しました。実は大きな集落を形成して農耕を行っていたことが判明しました。

私は今、厳しい自然の中で一万年もの長い間平和を保ち、日本文化の礎を築いた縄文人に思いを馳せています。
そして、天空を突き抜けるような不思議な音色の岩笛を吹奏することで、もう一度縄文人の生命力を現代につなげていきたいと思っています。